2011年11月12日土曜日

ピクニックサイクル

「ピクニックサイクル」(1973)の解説案

サイクリストたちが、緑のなだらかな丘を、高層ビルが林立する都会へと向かっている。空には気球が飛んでいるが、そのゴンドラも自転車である。中央の前輪二輪、後輪一輪の三人乗りの自転車は、前で舵取りをする小学生の男の子、後ろでペダルを漕ぐ両親の三人の力を合わせて前進する。右手を走る蒸気機関車はたくさんの煙を吐き、左手の枝にとまっている鳥はメタボ気味で、自転車に乗っている人たちの方がはるかに軽やかで爽やかそうに描かれている。

真鍋博のオリジナルキャプション
ピクニックに行くには自転車が一番。力を合わせてこげば、そよ風汗ばんだ顔に気持ちよく吹く。そして丘の上まで乗りつけて広げるお弁当のおいしさ。ピクニック自転車は自然に親しむ自然の車だ。
「自転車讃歌」(1973)より

1 件のコメント:

  1. 四行半に渡る解説文で、最後の一行だけが潜在的属性で、あとは顕在的属性で貫かれている。言葉での表現が続く顕在的属性に関する記述を読み進むと、まるで感情を表す言葉を用いない叙事詩のように、絵から感情があふれて伝わってくる。絵の中の事実を言葉でなぞることで、息づく感情を読む人に伝えることになるようだ。叙情詩よりも叙事詩の方が感情を伝えるパワーが強い実例を見たようです。

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